生徒向けの電子工作ラボの安全ルール:10のルールとチェックリスト
生徒向けの電子工作ラボの安全ルールをまとめました。教室に貼る10のルール、リスク表、リチウム電池とはんだ付けのルール、モーターの電源、先生用チェックリストを紹介します。
生徒向けの電子工作ラボの安全ルールは、まず現実的な全体像から考えましょう。パソコンのUSBポートから5 Vや3.3 Vで動かすArduino、ESP32、Raspberry Pi Picoのプロジェクトは、一般にリスクが低いです。この程度の電圧では、乾いた皮膚に感じるほどの電流は流れないからです。本当のリスクは別のところにあります。ショートで熱くなる配線や部品、リチウム電池(18650、LiPo)、はんだごてのこて先の熱と煙、切ったリード線の飛び散りや小さな部品、そして商用電源(220〜240 V、北米では120 V。日本の商用電源は100V(50/60Hz)です)です。この記事の核心はひと言で言えます。生徒のプロジェクトでは商用電源には絶対に触れないということです。それ以外のリスクは、いくつかの明確なルール、チェックリスト、毎回の授業でくり返す習慣で管理できます。以下に、教室の壁に貼れる10のルールと、授業前・授業後の先生用チェックリストを用意しました。
学校のラボづくりの記事では、安全について短い節を設けました。「学校にArduinoラボをつくる」の記事では、5 Vの上限、電池の保管、ドアに貼る8項目のポスターを紹介しています。この記事はその続きとして、リスクを1つずつ取り上げます。リスクがどのように起きるかとその最初の兆候、各ルールを生徒にどう説明するか、リチウム電池とはんだ付けステーションのルール、モーター用の外部電源をつなぐ順番、商用電源の線引き、授業前・授業後のチェックリスト、そして何か起きたときの手順です。大人数のクラスでの授業終わりの片付けの流れは「大人数のクラスでArduinoを教える」の記事で紹介しているので、ここではくり返しません。
本当のリスクは電圧ではなく、熱、エネルギー、そして焦り
生徒や保護者からは、よく「感電しますか?」と聞かれます。5 Vなら答えは「いいえ」ですが、だからといって回路が無害なわけではありません。害の多くは熱から生じ、熱を決めるのは電圧ではなく電流です。ジャンパーワイヤーで5VとGNDを直接つなぐと、経路の抵抗はほぼゼロになり、電源は流せるだけの電流を流します。パソコンのUSBポートと、Arduino Unoに付いている500 mAの復帰型ヒューズがこの電流を制限するので、USBでのショートはたいていポートが停止するだけで済みます。同じミスを18650電池でやると話は変わります。リチウム電池はショートすると数十アンペアを流すことがあり、細い配線は数秒で熱くなって被覆が溶けます。教室でのリスクは、電源が大きくなるほど高まります。USB、次に単3電池ボックス、次に可変の直流安定化電源、次にリチウム電池、最後に商用電源です。ルールの厳しさも、この順番に合わせて決めましょう。
| リスク | どのように起きるか | 最初の兆候 | 予防策 |
|---|---|---|---|
| ショートと発熱 | 配線で5VとGNDがつながる、VCCとGNDを逆にしてモジュールを挿す、リード線がブレッドボードの隣の列にずれる | ボードやモジュールが温かくなる、ONランプが消えるかちらつく、パソコンがUSBデバイスを無効にする | 配線を変えるときはUSBを抜く。電源を入れる前に5VとGNDのラインをたどる。モジュールのVCCとGNDの表示を読む |
| 抵抗なしのLED、ピンの電流の流しすぎ | LEDをピンに直接つなぐ、またはピンでモーターやリレーのコイルを駆動する | LEDがとても明るく光って消える、ピンが動かなくなる、ボードがリセットを繰り返す | すべてのLEDに直列抵抗(5 Vで220〜330 Ω)。1ピンあたり20 mA未満に抑える。負荷はドライバで駆動する |
| リチウム電池 | 膨らんだり、つぶれたりした電池、目を離した充電、むき出しの18650を鍵と一緒にポケットに入れて持ち歩く | 電池が温かくなる、膨らむ、においがする、シューという音がする | 充電は必ず監視のもとで。ふた付きの燃えない箱で保管。膨らんだ電池は使わない |
| はんだ付け | こて先は300 °Cを超える。こて台に置かれていないはんだごて。フラックスの煙 | 軽いやけど、目やのどの刺激 | こて台、換気、保護メガネ、先生の監督 |
| 鋭いリード線、小さな部品 | 切ったリード線が飛ぶ、床に落ちた部品、放置されたコイン電池 | 目に何かが入る、ひっかき傷、部品の紛失 | 保護メガネ。切るときは切り落とす側を押さえる。コイン電池は数を数えてパッケージに入れておく |
| 電解コンデンサの逆接続 | 極性が逆、または耐圧が回路の電圧より低い | コンデンサが膨らみ、破裂することがある | 長い足が+、帯のある側が−。耐圧は回路の電圧の1.5〜2倍以上。保護メガネ |
| レーザーモジュール | ビームを人の目に向ける | まぶしさ、目を傷めるリスク | ビームは壁の的にだけ向ける。目の高さでは使わない |
| 商用電源の電圧(220〜240 V / 120 V) | コンセントにつないだ機器をリレーで切り替える、むき出しのAC-DCコンバーターモジュール | 感電、火災 | 生徒のプロジェクトでは商用電源を使わない。リレーで切り替えるのは低電圧の負荷だけ |
教室の壁に貼る10の安全ルール
ルールは短く、指示の形で書き、目で見て確認できるものにします。「気をつける」はルールではありませんが、「配線を変える前にUSBを抜く」はルールです。下の10項目をA3の紙に大きな文字で印刷し、先生の机の横に貼りましょう。最初の授業でルールを順番に読み上げ、次の表のひと言でそれぞれの理由を説明し、生徒に1つずつルールを自分の言葉で言い直してもらいます。ラボのポスターは箱や机の使い方が中心でしたが、このリストは回路の前で下す判断が中心です。2つを並べて貼ってもかまいません。
- 配線を足す、外す、動かすときは、ボードのUSBケーブルを抜いておきます。
- 電源を入れる前に、5V、3V3、GNDのラインを指でたどります。ペアの相手にも確認してもらいます。
- LEDには必ず抵抗をつけます。Arduinoのピンでモーター、リレーのコイル、スピーカーを直接駆動しません。
- 何かが熱くなる、においがする、シューという音がする、煙が出るときは、USBケーブルを抜き、下がって手を挙げます。
- 電池、ACアダプター、電源装置は先生の許可があるときだけ使います。リチウム電池をむき出しで持ち歩きません。
- コンセントに挿すものは回路に一切つなぎません。このラボに商用電源はありません。
- はんだごては、はんだ付けステーションで、保護メガネをかけて、先生がいるときだけ使います。手に持っていないときは、こて台に置きます。
- リード線を切るときは保護メガネをかけ、切り落とす側を指で押さえて、ゴミ箱に捨てます。
- レーザーや明るいLEDを人の目に向けません。机の上に飲食物は置きません。
- 壊れた部品、熱くなった部品、膨らんだ部品は持ったままにしたり直そうとしたりせず、先生に渡します。
各ルールの理由をひと言で
理由が説明されないルールは、退屈になった瞬間に忘れられます。表の文は10〜15歳を想定して書いています。年上の生徒とは、その背景にある数値についても話し合えます。3列目の短い実演は先生が行い、生徒は見学します。どれも本当のショートや本当のやけどのリスクはありません。
| ルール | 生徒へのひと言 | 短い実演(先生が行う) |
|---|---|---|
| 1.USBを抜く | USBを挿したまま配線を変えて、片方の端が違う穴に触れると、その瞬間にショートします。 | USBを抜いた状態で、5VとGNDをつなぐ間違った配線を挿し、テスターの導通ブザーでショートを「知らせ」ます。 |
| 2.ラインをたどる | 1分の確認は、焼けたボードより安上がりです。 | 回路図を回路の横に置き、配線を1本ずつ数えて見せます。 |
| 3.抵抗とピン | 抵抗は電流を制限します。Arduinoのピンには、小さなLEDを光らせる程度の力しかありません。 | 「LED用抵抗」ツールで5 V、赤色LED、15 mAを入力し、220 Ωという結果を見せます。 |
| 4.熱くなったら止める | 熱は、何かがおかしいことを示すいちばん早いサインです。まず電源を切れば、その後の対応が楽になります。 | 「抜く、下がる、手を挙げる」をクラスで一度練習します。 |
| 5.電池は許可を得て | 電池にはヒューズがなく、ショートするとUSBよりはるかに大きな電流が流れます。 | ふた付きの電池ボックスと、端子をテープでふさいだ18650を見せます。 |
| 6.商用電源は使わない | 商用電源は危険な感電や火災を起こすことがあります。ここで使う電源は5 Vだけです。 | コンセントにつないでいないリレーモジュールの裏の、むき出しのはんだ付け部分を見せます。商用電源につなげば、これがすべて電圧のかかった状態になります。 |
| 7.はんだごてはこて台に | はんだごてのこて先は、家庭用オーブンの最高設定よりも熱くなります。 | 冷えたはんだごてで、こて台への置き方と、落ちたはんだごてをつかまない理由を見せます。 |
| 8.保護メガネ | 切ったリード線は勢いよく飛び、いちばん当たりやすいのは目です。 | リード線をゴミ箱の中に向け、端を指で押さえながら切ります。 |
| 9.レーザーと机 | レーザーのビームは目を傷めることがあります。机の上の水は回路にこぼれることがあります。 | レーザーモジュールを壁の紙の的に向けて見せます。 |
| 10.壊れた部品は渡す | 机に残された壊れた部品は、次のグループには正常に見えてしまいます。 | 赤いラベルの「故障品」ボックスを見せ、置き場所を伝えます。 |
リチウム電池のルール:18650、LiPo、TP4056
リチウム電池は、教室にあるもののなかでいちばん多くのエネルギーを蓄えています。18650電池は満充電で4.2 V、公称電圧3.6〜3.7 Vで、容量はふつう2000〜3500 mAhです。LiPo電池は同じ化学組成をやわらかいパウチに入れたもので、つぶれたり穴が開いたりしやすくなっています。問題は容量ではなく、そのエネルギーがどれだけ速く放出されるかです。ショート、過充電、過放電、物理的な損傷によって、電池の内部で止まらない発熱が始まることがあります。そのため、最初の授業ではリチウム電池を机に出しません。電池で動かすESP32のプロジェクトのように本当に必要になったときは、先生が配り、授業の終わりに数を数えて回収します。TP4056モジュールの配線と保護回路付きの版については「TP4056充電モジュール」の記事で、電池で動かす方法は「Arduinoを電池で動かす方法」の記事で説明しています。

- 膨らんだ電池は使わない:パウチが膨らんだLiPoや、つぶれた、へこんだ、外装の破れた18650は、すぐに使用をやめます。穴を開けたり、曲げたり、平らにしようとしたりしないでください。燃えない容器(たとえば砂を入れた金属の箱)に入れ、燃えやすいものから離して置き、電池の回収場所に持っていきます。
- 充電は監視のもとで:TP4056での充電は、先生の机の燃えない台の上で、部屋に人がいるときだけ行います。部屋が空になったら充電ケーブルを抜きます。夜通しや週末に電池を充電したままにしません。
- 正しいモジュールを使う:出力端子(OUT+とOUT−)のある保護回路付きのTP4056モジュールを使います。B+とB−だけの版は、過放電や出力のショートを防ぎません。このモジュールはふつう1 Aで充電するので、小さなLiPoには多すぎることがあります。電池のラベルにある充電電流を確認しましょう。
- 極性とショート:電池をホルダーに入れる前に+と−を確認します。逆に入れた電池は、すぐにモジュールを発熱させます。むき出しの電池を、ポケットやかばん、金属部品と同じ箱に入れて持ち歩かないでください。端子が露出している電池はテープでふさぎます。
- 保管:長く使わないリチウム電池は、半分くらいまで充電した状態(1セルあたり約3.7〜3.8 V)で、涼しく乾燥した場所の、ふた付きの燃えない箱に、端子どうしが触れないようにして保管します。
- 温度:日の当たる窓際、暖房器具の上、暑い車の中に電池を置かないでください。0 °C未満では充電しません。
- コイン電池:CR2032のようなコイン電池のエネルギーは小さく、おもなリスクは小さな子どもが飲み込むことです。数を数えてパッケージに入れておき、生徒には家に持ち帰らないように伝えます。
はんだ付けステーションのルール
1学期目のブレッドボードのプロジェクトでは、はんだ付けは必要ありません。はんだ付けはふつう、ピンヘッダーがはんだ付けされていないモジュール、常設の回路、クラブ活動から始まります。鉛フリーはんだでは、こて先は一般に330〜370 °Cに設定され、電源を切ってからも数分間は熱いままです。はんだ付け中に見える煙の大部分は、糸はんだの中のフラックスから出ます。目や気道を刺激することがあるので、換気は常に必要です。学校では鉛フリーの糸はんだを使いましょう。鉛に触れるリスクがなくなります。それでも、フラックスの残りが指に付くので、はんだ付けの後は手を洗います。技術の手順は「はんだ付けのやり方」の記事で紹介しています。この節で扱うのはステーションのルールだけです。
- 場所:はんだ付けコーナーは、窓や吸煙器の近く、通路から外れた場所の燃えない面の上に設けます。はんだごてのケーブルを机の端から垂らしません。
- 人数:1つのステーションで、はんだ付けをする生徒は1人、その横に見守り役が1人です。先生はすべてのステーションが一度に見える位置に立ちます。1年目はステーション2つで十分です。
- こて台:はんだごては、手に持っていないときはこて台に置きます。机に寝かせたり、ケーブルを引っぱったりしません。落ちたはんだごてをつかもうとせず、そのまま落とします。
- メガネと服装:はんだや切ったリード線は飛び散ることがあります。保護メガネをかけ、長い髪は結び、ゆったりした袖はまくります。
- 煙:煙の上に顔を近づけません。吸煙器も開いた窓もないときは、はんだ付けをしません。
- 部品の固定:部品は指ではなく、ヘルピングハンズ、小さな万力、テープで固定します。できたばかりの接合部には数秒間触りません。
- 終わり方:授業の終わりには、はんだごての電源を切り、プラグを抜いて、冷えるまでこて台に置いておきます。その後、手を洗います。
モーターと外部電源:ピンでモーターを駆動しない
Arduino Unoのマイコンのデータシートによると、1ピンに流せる電流は最大40 mAで、連続して使うなら20 mA未満に抑えるべきです。ボード全体の電流にも上限があります。これはLEDには十分ですが、モーターにはまったく足りません。小さなDCモーターでも回転中に数百ミリアンペア、負荷がかかるとそれ以上を消費し、起動や停止のときにはコイルが逆起電力を生じます。モーターをピンに直接つなぐと、ピンが永久に壊れたり、ボードがリセットしたり、USBポートが停止したりすることがあります。正しい方法は、ピンは命令を出すだけにして、電流はドライバ(トランジスタ、MOSFET、L298N、L9110S、ULN2003)と別の電源に流してもらうことです。ESP32とRaspberry Pi Picoのピンは3.3 Vで動作し、これらのボードもモーターを直接駆動しません。

| 負荷 | 一般的な電流 | ピンに直接? | 正しい接続 |
|---|---|---|---|
| 5 mm LED | 10–20 mA | 可、抵抗つきで | 5 Vで220〜330 Ωの直列抵抗 |
| リレーモジュール(5 V、1チャンネル) | コイル約70 mA | コイルは不可、モジュールの信号入力は可 | モジュール上のトランジスタとダイオードがコイルを駆動。負荷は低電圧のみ |
| SG90サーボ | 無負荷で100〜250 mA、拘束時は500 mA超 | 信号は可、電源は不可 | 信号はピンへ。別の5〜6 V電源(単3電池4本(4 × AA)または5 VのACアダプター)。GNDは共通 |
| MG996Rサーボ | 拘束時は2 A超 | 信号は可、電源は不可 | 3 A以上流せる別の5〜6 V電源。GNDは共通 |
| ギア付きDCモーター(TT) | 回転中100〜250 mA、拘束時は1 A近く | 不可 | L298NまたはL9110Sドライバ、別の電池ボックス、GNDは共通 |
| 28BYJ-48ステッピングモーター | 200–250 mA | 不可 | ULN2003ドライバボード、別の5 V電源、GNDは共通 |
- 電源を切った状態から始めます。USBは抜いておき、電池ボックスのスイッチはオフか、電池を入れていない状態にします。
- 負荷に合わせて電源を選びます。SG90なら5〜6 V、TTモーターとL298Nなら6〜9 Vです。可変の直流安定化電源を使うなら、まず電圧を設定し、電流制限は低め(たとえば0.5 A)から始めて、必要に応じて少しずつ上げます。
- モーター用電源の+は、ドライバとモーターだけにつなぎます。Arduinoの5Vピンにはつなぎません。
- 電源のGNDをArduinoのGNDとつなぎます。共通GNDがないと、ドライバはArduinoの信号を正しく読み取れません。
- 配線を回路図と見比べます。極性(赤が+、黒が−)はペアの相手にも確認してもらいます。
- まずArduinoをUSBで動かしてコードを書き込み、その後モーター用電源を入れます。切るときは逆の順番で、先にモーター用電源、次にUSBです。
- 最初の30秒は、ドライバとモーターに触れずに手の甲を近づけます。熱を感じたら電源を切り、配線をもう一度確認します。
ドライバの選び方は「L298NでDCモーターを制御する方法」と「ArduinoでMOSFETを使う方法」の記事で説明しています。電池ボックスでモーターをどれくらい動かせるかを計算したいときは、「mAhとWh」の記事を見てください。1年目は可変の直流安定化電源がなくてもかまいません。小さなモーターやサーボには単3アルカリ電池4本(4 × AA)の電池ボックスで十分で、ショートしたときに流れる電流もリチウム電池より小さくなります。可変の電源を買うなら、初日に電流制限の使い方を教えましょう。正しく設定した電流制限は、焦げたにおいがする前にショートを止めてくれます。
商用電源:商用電源のプロジェクトを教室に持ち込まない理由
ヨーロッパをはじめ多くの国では、コンセントの電圧は220〜240 V AC(北米では120 V)です(日本の商用電源は100V(50/60Hz)です)。どれも体に危険な電流を流すことがあり、配線のミスは火災の原因になります。趣味のプロジェクトが商用電源に触れるのは、おもに2つの経路です。リレーモジュールと、商用電源から5 Vをつくる小さなAC-DCコンバーターモジュールです。安価なリレーモジュールでは、商用電源側はむき出しのネジ端子と、基板の裏のむき出しのはんだ付け部分でできています。人の多いブレッドボードの机では、指やジャンパーワイヤーが簡単に触れてしまいます。リレーモジュールのしくみと、商用電源側に特に注意が必要な理由は「リレーモジュールとは?」の記事で説明しています。HLK-PM01のようなAC-DCコンバーターも同じ仲間で、生徒の作業台には置きません。
BlueGraysにも、ボタンやリモコンで220V電球を点灯・消灯する上級のプロジェクトがあります(日本の商用電源は100V(50/60Hz)です)。授業では、同じコードで低電圧にして作りましょう。リレーで切り替える負荷は、抵抗つきのLEDか、別の5〜12 V電源で動く小さなランプやファンにします。生徒は、リレーのカチッという音、接点の開閉のしかた、コードの考え方をまったく同じように学べます。商用電源の部分は、ふたの閉じた市販の製品を使って先生が説明します。生徒が家で商用電源につなぐプロジェクトを作りたいと言ったら、答えは「授業で一度試してみよう」ではなく、「資格のある電気工事士の監督のもとで」です。
先生用チェックリスト:授業前と授業後
下の2つのリストをコピーして印刷し、先生の机のファイルに入れておきましょう。授業前のリストは約5分、授業後のリストは3〜4分かかります。大人数のクラスでは、数の確認や片付けは生徒の係に任せてもかまいませんが、電源、電池、はんだごて、発熱に関する項目は先生自身でチェックしてください。チェックできない項目があれば、その授業のその部分は延期します。たとえば吸煙器が動かないときに、はんだ付けを次の授業に回すのは計画の変更ではなく、ルールの実践です。
- 授業前:ルールのポスター、救急箱、消火器、責任者の電話番号が見える場所にある。
- 授業前:今日の電源がはっきりしている。USBだけか、電池ボックスか、電源装置か。電池を使うなら、数を数えて箱に入れてある。
- 授業前:リチウム電池の箱は閉じて鍵がかかっている。充電したままの電池はない。
- 授業前:机の上に液体はない。電源タップのスイッチはオフで、ケーブルは通路にない。
- 授業前:保護メガネは数を数えて机に置いてある。レーザーを使うなら、壁に的を貼ってある。
- 授業前:はんだ付けがあるなら、吸煙器が動くか窓が開いている。こて台、こて先クリーナーのスポンジ、鉛フリーの糸はんだがそろっている。
- 授業前:モーターや外部電源を使うなら、電池ボックスや電源装置は先生の机にあり、電流制限を設定してある。
- 授業前:今日の回路図とつまずきやすい点に目を通してある。赤いラベルの「故障品」ボックスは空で、所定の場所にある。
- 授業後:USBケーブルはすべて抜いてある。電池ボックスのスイッチはオフで、電池は取り出してある。
- 授業後:はんだごては電源を切り、プラグを抜いて、冷えるまでこて台に置いてある。誰も手に取らない。
- 授業後:リチウム電池は数を数えて鍵のかかる箱に戻してある。足りないときは、クラスが解散する前に探している。
- 授業後:熱くなった部品、膨らんだ部品、壊れた部品は「故障品」ボックスに入れ、インシデント記録に書いてある。
- 授業後:机と床から、切ったリード線や小さな部品を片付けてある。
- 授業後:電源タップのスイッチはオフ。吸煙器は止めてあるか、窓は閉めてある。
- 授業後:何か起きた場合は、学校の手順に従って報告し、記録してある。
何か起きたとき:熱くなった部品、煙、やけど
ラボで起きることのほとんどは小さなものです。レギュレーターが熱くなる、LEDが切れる、誰かがこて先に触れる、といったことです。小さな出来事を小さいまま収めるには、全員が同じ最初の一歩を覚えていることが大切です。電源を切る、下がる、先生を呼ぶ、です。医療的な処置はこの記事の範囲外です。やけどやけがについては、学校の応急手当の手順と、指定された応急手当の担当者に従ってください。その手順の写しをチェックリストのファイルに入れておきましょう。下の表は誰が何をするかを分けるためのもので、応急手当の手順の代わりにはなりません。
| 出来事 | 生徒がすること | 先生がすること | その後 |
|---|---|---|---|
| 熱くなった部品、焦げたにおい | USBケーブルを抜き、手を挙げ、部品には触らない | 電源が切れていることを確認し、部品が冷えるのを待ち、回路を回路図と照らし合わせる | 部品は「故障品」ボックスへ、原因はインシデント記録へ |
| 煙や火花 | 電源を切り、机から下がる | 机の周りから人を離し、部屋を換気する。炎が出ていれば学校の火災対応の手順を始める | 回路は分解する前に写真を撮り、原因を一緒に見つける |
| 電池が熱くなる、膨らむ、シューという音がする | 触らずに離れ、先生に伝える | 生徒を遠ざけ、電池を素手で運ばず、学校の火災対応の手順に従う | 電池は回収場所へ。充電と保管の決まりを見直す |
| はんだごてのやけど | はんだごてをこて台に置き、先生に伝える | 学校の応急手当の手順に従い、応急手当の担当者を呼ぶ | はんだ付けコーナーの配置と監督のしかたを見直す |
| 目に何かが入った、レーザーのビームが当たった | 目をこすらず、先生に伝える | 応急手当の担当者を呼び、手順に従って保護者に連絡する | 保護メガネのルールとレーザーの的について、クラスでもう一度話し合う |
| 机の上にコンセントにつながったケーブルがある | 触らずに先生に伝える | コンセントからプラグを抜き、ケーブルを机から片付ける | 商用電源のルールについて、クラスでもう一度話し合う |
インシデント記録には、日付、机または箱の番号、何が起きたか、使っていた電源、取った対応の5列のページがあれば十分です。学期の終わりには、どのルールをもっと頻繁に説明すべきかが記録からわかります。同じ種類の出来事が3回あれば、ルールか授業の進め方を変える必要があるということです。出来事については生徒を責めず、「回路で何が起きた?」と問いかけて話しましょう。この話し合いはトラブルシューティングの習慣の一部でもあり、「Arduinoのプロジェクトが動かないとき」の記事の手順と同じ考え方で進みます。まず電源、次に接続、それから部品です。
アプリで安全な値を選ぶ:ツールとトラブルシューティング
安全の一部は正しい値を選ぶことです。授業で計算して見せるのが、ルールの理由を示すいちばん簡単な方法です。BlueGraysの「LED用抵抗」ツールで、電源に5 V、色に赤、電流に15 mAを選ぶと、ツールは210 Ωと計算し、ひとつ上の標準値である220 Ωをすすめます。「オームの法則」ツールでは、同じ考え方を逆から見せましょう。220 Ωに5 Vをかけると約23 mAですが、0.1 Ωのジャンパーワイヤーに5 Vをかけると、計算上は50 Aになります。実際にはUSBのヒューズがこの電流を止めますが、リチウム電池にはそのようなヒューズはありません。この2つのツールは無料です。「電池の持続時間」ツールはプレミアムで、無料アカウントでは計算例として開き、18650、LiPo、9 Vなどのプリセットで、電池が負荷をどれくらいの時間動かせるかを示します。この計算で生徒は、「もっと大きな電池」ではなく「負荷に合った電池」と考えるようになります。
プロジェクトページにも、安全に役立つ欄があります。必要な部品のリストはどの部品を何個使うかを、回路図はすべての配線の行き先を示します。回路図を拡大して組んだ回路の横に置くことは、まさにルール2の確認そのものです。一緒に作りましょうのガイドモードでは、回路を組むステップに「配線中はボードのUSBケーブルを抜いておく」というヒントが付いています。コードを理解タブの困ったときはの欄は、そのプロジェクトでよくあるつまずきを症状と解決策の形で並べたもので、無料のプロジェクトでは誰でも見られます。トラブルシューティングの欄は、170件を超えるプロジェクトで「プロジェクトが動作しない場合は」から始まる確認のステップを示し、プレミアムで利用できます。部品が熱くなっているときは、まず電源を切り、これらの欄はその後で見てください。最初の安全の授業は、無料のLEDの点滅プロジェクトで行えます。LED 1個、抵抗1本で、10のルールのほぼすべてを扱えます。無料とプレミアムの欄の一覧は「BlueGraysプレミアムで使えるもの」の記事にあります。
安全ルールは一度貼って忘れる紙ではなく、毎回の授業の最初と最後の5分でくり返す習慣です。最初の週は、10のルール、ルール探し、チェックリストを取り入れましょう。モーター、電池、はんだごてを机に出すのは、この習慣が定着してからです。授業の準備で次のプロジェクトをBlueGraysで開き、回路図とつまずきやすい点を前もって見ておけば、その日にどのルールを強調すべきかもわかります。
よくある質問
Arduinoの5 Vで感電しますか?
いいえ。USBの5 Vや3.3 Vのボードでは、乾いた皮膚に感じるほどの電流は流れません。ここでのリスクは感電ではなく、ショートで熱くなる配線や部品です。そのため、配線を変えるときにUSBを抜くことと、電源を入れる前に5VとGNDのラインを確認することが基本のルールであることに変わりはありません。
学校でArduinoを使って230 Vのリレープロジェクトを作ってもいいですか?
生徒のプロジェクトでは作りません。リレーモジュールの商用電源側は、むき出しの端子とはんだ付け部分でできていて、作業台の上では簡単に触れてしまいます。同じコードと同じリレーでLEDや5〜12 Vの小さなランプを切り替えれば、商用電源のリスクなしに内容をすべて学べます(日本の商用電源は100V(50/60Hz)です)。
膨らんだLiPo電池はどうすればいいですか?
すぐに使用をやめます。穴を開けたり、曲げたり、充電したりしないでください。砂を入れた金属の箱のような燃えない容器に入れ、燃えやすいものから離して置き、電池の回収場所に持っていきます。熱くなっていたり煙が出ていたりするときは触らず、学校の火災対応の手順に従います。
Arduinoのピンにモーターを直接つないでもいいですか?
いいえ。Unoのピンに流せる電流は最大40 mAで、連続して使うなら20 mAが推奨ですが、小さなDCモーターでも数百ミリアンペアを消費します。モーターはL298NやL9110Sのようなドライバと別の電源で動かし、電源のGNDをArduinoのGNDとつなぎます。
はんだ付けの煙は有害ですか?学校では鉛フリーはんだを使うべきですか?
はんだ付け中に見える煙の多くはフラックスから出ていて、目や気道を刺激することがあるので、吸煙器か開いた窓が必要です。学校で鉛フリーはんだを使えば、鉛に触れるリスクがなくなります。どちらの場合も、はんだ付けの後は手を洗い、はんだ付けの机には食べ物を置きません。
電子工作ラボでは、生徒は保護メガネをかけるべきですか?
リード線を切るとき、はんだ付けをするとき、モーターのプロジェクトでは、はい。切ったリード線やはんだは飛び散ることがあり、逆に挿した電解コンデンサは破裂することがあります。ブレッドボードでLEDとセンサーだけを扱う授業では、学校のラボの規則に合わせてルールを決めてかまいません。
この記事を読んだ後に作れるプロジェクト
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LEDの点滅
電子工作の第一歩は、1個のLEDを点けたり消したりすることです。Arduinoで短い間隔で点灯と消灯を繰り返すと、LEDが素早く点滅します。ボードが光を制御する仕組みを最もシンプルな形で確かめ、これから取り組むプロジェクトの基礎を身につけます。

ボタンでLEDを点灯(押している間のみ)
呼び鈴のように、押している間は点灯し、離すと消灯します。Arduinoはボタンの状態を常に読み取り、押されている間はLEDを点灯させ、指を離した瞬間に消灯させます。このシンプルな回路で、ボードが外部からの操作を検知する仕組みを学べます。

LDRで作る常夜灯
暗くなると自動で点灯し、朝になると消灯する小さな常夜灯です。光センサーが部屋の明るさを測定し、Arduinoが十分に暗くなったらLEDを点灯させ、明るくなったら消灯させます。街灯が夕方になると自動で点灯する仕組みも理解できます。

HC-SR04で距離を測定(シリアルモニタ表示)
HC-SR04センサーは、コウモリが暗闇で道を見つけるのと同じ仕組みで動作します。人には聞こえない音を出し、その反響を捉えて前方の物体までの距離を測ります。Arduinoは0.5秒ごとに距離をセンチメートル単位でコンピューターの画面に表示し、3〜100センチメートルの測定値を示します。駐車センサーや障害物を避けるロボットなどのプロジェクトの基礎になります。

ESP32でLEDを点滅
ESP32のGPIO出力の基本を学びます。デジタルピンからLEDを点灯・消灯させて、点滅させます。Arduino UNOの定番のLED点滅プロジェクトのESP32版です。Arduino環境で使う基本的な点滅コマンドは同じですが、ESP32のピン配置と3.3 VのGPIO電圧レベルはArduino UNOとは異なります。

Raspberry Pi Picoで外付けLEDを点灯(ブレッドボード)
Picoの内蔵LEDの次は、ブレッドボードに外付けLEDを接続し、GP14ピンで制御します。このプロジェクトでは、Picoの汎用GPIOピンを出力として使う方法、LEDの極性(長い足=アノード/+、短い足=カソード/−)、電流制限抵抗(220Ω)が必要な理由を学びます。抵抗を入れないと、LEDに過大な電流が流れて壊れることがあります。回路はとても簡単です。Pico GP14 → 220Ω抵抗 → LED(+)→ LED(−)→ Pico GND。Wokwiでシミュレーションできます。

サーボモーターの使い方
小型サーボモーターのアームが、一方の端、中央、もう一方の端の3つの位置へ順番に回り、それぞれの位置で2秒間止まります。Arduinoが保持する角度をモーターに指示すると、モーターはその位置まで動いて止まります。ロボットアームや自動開閉するふたが動く仕組みを学べます。

ステッピングモーターの使い方
時計の針のように、必要な分だけ正確に少しずつ回転するモーターです。Arduinoがドライバーボードを介して小さなステッピングモーターを一方向に1回転させ、1秒待ってから逆方向に1回転させます。ドア、カーテン、回転台など、正確な回転が必要なプロジェクトの基礎を学べます。
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回路図、コード、部品リストを1つの画面で確認できます。Arduino、ESP32、Picoのプロジェクトを200件以上用意しています。

